応用可積分系とは

 可積分系(integrablesystems)とは元来,古典力学の概念ですが,ソリトンの発見以降この四半世紀余りの間に,解や様々な物理量を原理的には書き下すことができる連続時間・離散時間,有限自由度・無限自由度,古典・量子の力学系に拡張され,可積分系研究は大きく発展しました.

 可積分系研究の自律的な進展とともに,近年,可積分系によって記述される新しい非線形数理の発見,新しい可積分系の探索,さらには,可積分系モデルによる多様な現象の記述が試みられるようになりました.また,可積分系研究で開発された数学手法の有効性の検証として,可積分系の応用数学的側面も盛んに研究されています.とりわけ,1965年のソリトンの発見(Zabusky-Kruskal)以来となるコンピュータサイエンスとの接近を通じて可積分系の新しい応用数理が語られるようになってきました.

 「応用可積分系」(Applied Integrable Systems: AIS)とは,このような可積分系研究の新しい動向を表す無定義語です.豊かな研究成果の結実を待って,新しい概念として定着していくものと期待します.

『研究部会だより』から