設立趣旨(平成16年10月)

 ニュートン以来の歴史ある可積分系研究において近年大きな進展がありました.第1は,新しい非線形数理である超離散ソリトンの発見です.KdV方程式や連続・離散の戸田方程式などでソリトンが存在することは知られていましたが,従属変数をも離散化した超離散系でもソリトンが存在することがわかり,その後,交通流や確率力学系などへの超離散ソリトンの応用研究が行われています.第2は,離散可積分系に基づく数値計算アルゴリズムの開発です.とりわけ,離散ロトカ・ボルテラ系に基づいた高精度高速特異値分解アルゴリズムの定式化が挙げられます.さらに,第3として,解や保存量,正準構造などを保存する数値積分法など可積分系の数値解析的側面の研究が大きな進展をみました.可積分系研究の深化と拡大は留まるところがありません.しかしながら,これらの成果をあげた研究者グループにはこれまで共通して活動する学会がなく,セミナーや研究会レベルの研究交流の場しかありませんでした.

 世界を大きくリードする日本の可積分系研究の多様で持続的な発展のため,応用数理学会においてこのたび「応用可積分系」研究部会を設立致しました.